6.売れる包装テクニック
包装が担う役割の一つに販売促進ということがあります。
全く売れないとの烙印を押されてしまった商品でも、パッケージを変えたことで驚くほどのヒットが実現したり、売れ行きが低迷していたのがデザインを一新したことで再び売れるようになったり・・・包装とは時には商品の売れ行きを大きく左右するものなのです。
■カラーマーケティング
五感の中で、視覚が購買意欲を起こさせる割合は87%にもなるというデータがあります。視覚によって認識された色というのは、形や素材の情報よりも早く脳に伝わり、また長い間記憶に留まるそうです。
また、色には、特定の年齢や性別、感情、味などをイメージさせる効果があることが知られており、この色彩をマーケティングにうまく利用することができれば、今よりももっと売り上げを上げることができるようになります。
人によって成長してきた環境や生活経験、職業などは様々であり、色に対するイメージも皆同じというわけではありません。しかし、共通する点も多くありますので、それをいかに見つけ出し、生かしていくかが成功か失敗かを決定づけることになります。
1) イメージに合った色
目指す購入者層の心を揺さぶる色を想像してみて下さい。
例えば、高価な宝石を販売する時、ターゲットは余裕のあるお金持ちのはずです。そのお金持ちが宝石を見た時に、チープな色のケースに入っていたらどう感じるでしょうか。もしくは、プレゼント用の包装が同様に安っぽい色だったらどうでしょう。
反対に、高級感の漂うゴールドのDMを受け取った時、中身は特売品や激安品のチラシだと想像する人はいるでしょうか。
第一印象で内容物を理解してもらえるような色遣いは非常に大切なのです。
2) おいしそうな色
食品の包装にどんな色を使うかということは、その売れ行きに直接的な影響を与えます。「おいしそうか、おいしくなさそうか」
人は誰でもおいしい食品を食べたいと願い、その味を予想しながら購入しているのです。
食パンの包装によく使われる色を例にとって考えてみましょう。
【包装に使われる色と想起イメージ】

果物や青果物の包装にもよく使われる赤やオレンジは食欲増進色であるとともに、一目で新鮮さが伝わります。このことは、社会心理学的にも裏づけされています。
食パンに限らず、食品の包装に採用されている色彩は、その食品のイメージを壊さないような色や伝えたいメッセージにつながるような色になっています。
つまるところ、消費者が商品に対して何を求めているのかを考えることによって、包装資材に求められるものも自然と見えてくるのです。
3) 見やすい色
包装の機能の一つに情報の伝達がありますが、特定の情報を見やすくする、言い換えれば目に付きやすくすることによって購買意欲を高めるという方法があります。
こちらがアピールしたい、購入者が欲しいと思うようなポイントを際立たせれば、売り上げは自然と上がっていくでしょう。
目立たせる方法の基本とは、商品に合った雰囲気の中で、アピールしたいことだけにアクセントカラーを使うことです。アクセントカラーとは、突拍子もない色のことではありません。周りの色に合わせながらも見やすい色のことです。
例えば、女性ウケがいいからといって淡いパステルカラーばかり使ってしまうと全体的にぼやけてしまい、訴えたいことの印象が薄くなってしまいます。
パルテルカラーの中では、アクセントカラーであるグレーで訴えかけましょう。
■空白の時間を広告に
電車やバスが来るまでの時間、待ち合わせをしている友人を待つ時間、レストランで料理が出されるまでの時間など、毎日の生活の中で、待ち時間、つまりふとした時に生まれる、何もすることがない時間というのは意外にあるものです。
そしてその時間に何もしないということは時間の無駄と考えている人が多いのも事実です。
そんな時に何か暇つぶしになるようなものが目に留まったら、大半の人は何とはなしに内容を確認するのではないでしょうか。実はすでに実用化されている例があります。
アメリカではコーヒーの紙コップに広告が掲載された紙製の帯を巻きつけるサービスがあります。このサービスの最大のメリットは、旅行者向けの広告であれば空港のコーヒーショップ、学生向けの広告であれば大学近くのコーヒーショップというように、広告のターゲットとする人が集まりそうな場所を選んで広告を配布できる点です。
中でも、サラリーマンによって毎朝テイクアウトされるコーヒーは、長い時間デスクの上に置かれるため、広告媒体としての効果はなかなかのものだそうです。
また国内でも、飲食店で出されるおしぼりの包装フィルムを利用した広告が登場しています。紙おしぼりや箸袋に店名や電話番号、地図やちょっとした案内などを印刷する手法はこれまでもありましたが、レンタル布おしぼりの包装フィルムに依頼を受けて広告を印刷するのは初めてのサービスと言えます。
依頼元は、食事中の話題として支障のない旅行会社や映画配給会社、レジャー施設といったエンターテイメント系が多く、また、配布先は、喫茶店やレストラン、居酒屋など、注文したものを待つ時間が発生する飲食店が目立ちます。それもそのはず、広告を読むような時間がないパチンコ店や暗くて読めないスナックなどで広告おしぼりを配ってもあまり効果がないからです。
居酒屋のペーパーテーブルクロスなどに、二次会に使えそうな店の情報を掲載しておけば、かなりの集客効果が見込めるのではないでしょうか。
■付加価値としての満足感
包装によって購入時の満足感を高め、売り上げを伸ばす方法があります。
女性には、いわゆる衝動買いに走る人が多いと言われています。女性なら、
「あっこれ・・・カワイイ!」
といってつい買ってしまった経験をお持ちの方、多いのではないでしょうか。
カワイイだけで商品を買うことがない男性でも、
「この絶妙な色遣い、なかなかレアな商品だし、これを逃す手はないぞ」
とか言いながら買ってしまったことがあるかもしれません。
人も物も見た目は重要であり、それによって手に入れたときの満足感が割り増しになります。包装(ここでは外装の意味)が販売促進のツールとして非常に有利なのは、商品の外側にあって人目に付くものだからです。
同じ商品を包むのでも、包装によって大きくイメージが変わります。
例えば同じケーキでも、無地のそっけない紙箱に入っているよりも、かわいいキャラクターが印刷されている綺麗な色の箱の方が買って楽しい気分になりますし、お土産に持って行った先でも喜ばれて話のタネにもなるでしょう。包装によるコストアップで値段が高くなってしまったとしても、満足感という付加価値がつくので売れるのです。
ただしこのテクニックには注意するべき点があります。
それは、商品を買って欲しい対象者の望むものを見誤らないことです。どの層の人に購入して欲しいのかを十分に考慮し、そのターゲットが買いたくなるような包装を考えるのです。男性向けの商品にピンクでフリフリのキュートな包装をしても売れないことは容易に想像がつくはずです。
■使い切りパック
単身世帯が増加している現代、ファミリー向けの大きさの食材をうまく使い切れず、もったいないと感じながらも廃棄する人が多いようです。
例えば、そのまま食べることができて、しかも栄養が豊富な豆腐について、通常の一丁では単身・独身世帯の人にとっては少々大きすぎます。賞味期限が比較的長いタイプもありますが、一度開封してしまうと風味は落ちるし、衛生的にもちょっと・・・できれば開けたてを食べたいものです。
そこで登場したのが使い切りパックです。1人分が1パックとして包装されているので、常に開けたてを食べられます。廃棄する量も今までよりかなり少なくなることでしょう。
近頃では豆腐以外にも、野菜や食パン、鮮魚などでも見かけるようになりました。
潜在的な不満に着目し、世の中の当たり前をもう一度見つめ直したことで新しい梱包形態が生まれ、今までにないユーザー層を獲得できた好例と言えます。
■レシピ印刷
インスタント食品は、温めるだけ、お湯を入れて待つだけ、の非常に便利な食品です。
一方で、家族の食事を担当している人にとっては、そのまま食卓に出すにはあまりにも味気ないという印象が拭い切れません。
そこで活躍するのが材料を切って混ぜるだけ、の即席調味料です。手抜きどころか普通に作るよりも本格的に料理が出来上がり、しかもおいしくて手間が掛かりません。
ここでどのように包装が関係してくるかというと、即席調味料の裏には多くの場合、アレンジレシピが紹介されているという点です。このアレンジレシピ情報があるだけで、売り上げは大きく変わってきます。同じ即席調味料でも、出来上がる料理が何通りもあれば、それだけ購入される量も増えるからです。
このレシピ情報を掲載する方法は他の食材でも当然活用できますし、何かの道具であればその意外な利用法を紹介するなど応用もききますので便利です。
■包装の有無
最近のコミック本は、ほとんどのものが透明なフィルムで包装されています。
これは立ち読み防止が大きな目的ではありますが、理由はそれだけではありません。多くの人が考える、「せっかくお金を出して買うのなら、できるだけきれいなものを手に入れたい」という思いを実現してくれているのです。
また、某アパレルメーカーがTシャツを円筒形のプラスチック容器に入れて販売したところ、「意外性に負けた」、「他人が触れていないので清潔」、「容器がオシャレなので、コレクションするために何着も購入してしまった」などの理由で売り上げが伸びたそうです。
Tシャツはふつう、ハンガーにつるされたり、たたまれて棚に置かれたりして、無包装のまま販売されています。そういう常識の中だからこそ、プラスチック容器に入ったTシャツは新鮮に映り、注目度がアップしたと言えます。オシャレな容器ということもプラス材料であったはずです。
包装しなくてもいいものをわざわざ包装することで、消費者に清潔感や未使用感、高級感、意外性などを感じさせることができ、またそれは購買行動の後押しとなるのです。